ITHACAの中心人物の2人、Peter HowellとJohn Ferdinandoによる,これまた謎なアルバム。何でも知人が制作した映画のサウンドトラックとして作られたアルバムだそうで、当然のように自主制作盤。これがまた、例によってリコーダーとか女性ボーカルが激可愛いキュートなフォークロックだったりするもので、実にたまらない。文字だけの簡素極まりない味も素っ気もないジャケも、音を知ってしまうと、なんとも慎ましい愛おしさに変わります。


このユニットが残していったアルバムの数々が次々とCD化されておりますが、どれも音質モコモコ、演奏ヨレヨレなのにも関わらず、メロディーだけは、どの曲も美メロが炸裂している部分は共通しています。当時はせいぜい100枚ぐらいしかプレスされなかった自主制作盤も、こうやって未来に発掘されるという面白さ。英国ロック史においては何の業績も偉業も成し遂げなかった人たちかもしれませんが、でも絶対に誰かには忘れて欲しくない人たち。


さて、このAcme Recordsからの再発盤CDは、なんと同名の映画のDVDがついているのが何しろ凄い。荒れた8mmの画像に映し出される何の変哲もない英国の田舎町にフォークギターを持った女性がうろうろと。まるで音楽そのままの映像ではないですか。素晴らしい。まるでチェリーレッドのクリップ集「ピローズ&プレイヤーズ」を彷彿とさせる、この独特のまったり感がたまりません。音楽も映画も、本当にぼんやり過ごす日曜日にもピッタリです。