バンド名はカフカの小説の主人公から。グラスゴーのポストカードからデビューしたものの、レーベルメイトのオレンジ・ジュースやアズテック・カメラほど知名度はないかもしれません。しかし初期のトーキング・ヘッズテレヴィジョンあたりに通じる神経質そうなボーカル(ポール・ヘイグ)とザクザクとしたエレキギター(マルコム・ロス)の絡みはクセになる魅力があります。


まちがってもネオアコではないけど、声やサウンドはどこかモノクローム・セットに似ています。しかし、こちらの方がはるかに暗い感じ。ドタバタとテンポが落ち着かないドラムと、「君、コード譜面もらったの?」と疑いたくなるほど音程の狂ったベースは人によっては不快感を伴うかも。この不協和音的なサウンドがパンクな勢いというか、実に聴いていて盛り上がるんですね。


これは彼らの唯一の公式アルバムですが、Rev-Olaからの再発盤には当時未発表だったデビュー盤「Sorry For Laughing」の曲がまるまるボーナストラックで収録。正直これが公式盤より大好きで、レーベルのドラム猫をあしらったブートのLPで昔は何度も聴いたものです。未発表盤のプロデューサーは、後にブルーナイルやプリファブ・スプラウトなどを手掛けるカラム・マルコム。