西森千明さんについては10年ほど前にこのブログで取り上げたことがありましたが(こちら)、純粋にオリジナルアルバムとして2枚目のアルバム「かけがえのない」がようやく発売されました。現物が届いてみて驚きだったのは、木製のCDケース。木製の特殊ケース自体は今までもいろいろ見てきましたが(MELONの木製BOXとか)、これはずっしりとした重さが素敵です。


前作「fragments」は曇ったような音質と彼女のボソボソした歌声が印象的な自宅録音っぽいサウンドでしたが、フランス印象派のような甘美な旋律とジョニ・ミッチェル的なSSWっぽいポップさも同居していて、すぐさま彼女が天才だとわかりました。周りの音楽仲間の間でも話題になり「ロバート・ワイアットフランシス・レイが合体したような」という無理矢理な紹介文で、当時いろいろな人に薦めた記憶があります。


あれから10年。彼女が選んだ録音場所は廃校になった校舎。おそらくピアノも歌も同時録音なのでしょう。防音設備のないところなので環境音が演奏と同じぐらいの比重で聴こえ、CDの再生が鳴り終わるまで時が止まったかのような強烈な郷愁に誘われます。誰もが記憶している子供の頃の「学校」の記憶が強烈に蘇ってくる音。2曲目の文部省唱歌「青葉」も、まるで彼女自身の曲のように聴こえてきます。