デヴィッド・サンボーンの「たまらなくアーベイン」な1枚。アーベインって何のこっちゃと思ったらアーバンのことなんですね。かつて、というか今もFMのジングルなどで、この手のフュージョン音楽が使われたりしますが、改めてスピーカーの前でじっくりアルバムを聴いていると、とにかく抜けの良いクリアーな音にビックリ。リズム隊がマーカス・ミラー&オマー・ハキムという強力なメンツから想像するような激しくテクニカルな曲は皆無で、全曲メロウかつライトなイメージ。実に歌心溢れるサックス・アルバムになってます。


邦題が「ささやくシルエット」。ジャケのまんまです。このジャケが強烈に80年代を感じさせていいですねぇ。なんかこうパーラメントみたいな。バンドではなくタバコの方ですよ。そういえば80年代までは「サックスできる男=モテ男」みたいなイメージが幾分あったような。イラストのような肩パッドのスーツにサックス。まんまハートカクテルの世界です。「Straght To Your Heart」は大学生の時に学園祭でカバーした個人的な思い出の曲。サンボーン好きのサックス吹きがいて。この曲を聴くと大学時代を思い出しますね。何だが恥ずかしい。


要注目はギターのマイケル・センベロでしょうか。彼は「Back Again」と「Love Will Come Someday」でボーカルも披露してるんですが、これがまたどちらもいい曲で。もちろんこの翌年、フラッシュダンスの特大ヒット「マニアック」でセンベロは一躍有名人になります。しかし、この手のフュージョンも歌が入ると完全にAORというかポップスですね。そもそもこれがジャズなのかという疑問も多数あるでしょう。ジャンルの境界線なんて曖昧なものですが、サンボーンのサックスは一点の濁りもなく直球のフレーズを連発するわけで、なんだかんだと聴くたびに清々しい気分になります。