再発されるまで馴染みのないアルバムでしたが、これが日本で70年代にオカルト映画ブームの最中に公開されたイタリア映画「ザ・ショック」のサントラを担当していたイ・リブラのファースト・アルバム。そのサントラは古くから日本盤LPで所有してたのですが、やはり「サスペリア」のゴブリンの音楽に似ていたという印象。実際バンドもゴブリンのメンバーに乗っ取られるかのようにして自然消滅したといわれています。


このアルバムがプログレらしからぬファンキーなサウンドという噂は聞いておりましたが、このアルバムが何とモータウンに認められ米国でも英語ヴァージョンに差し替えられ発売されています。更に米国でのライブもフランク・ザッパやチューブスのオープニング・アクトを務めたという情報もあり驚きです。セカンドに至っては米国だけで英語盤で発売され、逆に本国イタリアでは発売されなかったようです(筆者も未聴)。


聴いてみるとさほど思ったほどファンキーな要素は少なく、やはりプログレならではのドラマチックな要素がふんだんで、そこに時折16ビートが飛び出す、という程度。特に2曲目や6曲目などの長尺ナンバーはイタリアン・ロック屈指の名曲といってもいいほど。アレンジや構成もよく練られています。アルバム全体としてのクオリティも申し分なく、イタリアン・プログレの名盤といわれるイル・ヴォーロの2枚のアルバムにイメージが近いばかりか、個人的には、むしろそれよりも好きなサウンドかもしれません。