アニメ関係で絶大な支持を得ている新居昭乃の第1作。90年代になるとウィスパーボイスな歌唱で内省的なサウンドが中心になるのですが、このアルバムは歌い方も素直で明るくまっすぐな感じ。曲調は多彩ですが全体的にはニューミュージックの発展系とも言うべきキラキラした打ち込みアレンジが中心。


ご本人にとっては、あまり多くを語りたくないアルバムかもしれませんが、このアルバムは80年代の女性ポップスを代表する名作だと思います。アレンジがモロにピーター・ゲイブリエルだったりする曲はご愛嬌ですが、洋楽に追いつけ追い越せで切磋琢磨していた80年代日本のポップス職人の勢いを感じます。


本人による作曲能力の高さは1曲目の「Ring Ring 」を聴けば納得でしょう。この曲や「地図をゆく雲」も含め清水信之のツボを得たアレンジセンスはさすが。ひんやりとしたシンセと華麗なストリングスの音に身を委ねながら、ラグジュアリーな80年代ポップスの魔法がたっぷり堪能できる大推薦盤。