●kobbanovaさん(http://record.vis.ne.jp/

本人が望む、望まないにかかわらず、いつも抜群のユーモア感覚で楽しませてくれるのがkobbanovaさんのセレクト。今回もハッピー・ムード溢れるソフト・ロック系コーラス・グループが主体のセレクトながら、一歩間違えると、この徹底的にフラワーな雰囲気はギャグにもなりかねないというスレスレのセンスで選んでいる感があって、笑える箇所が何度も登場してきました。オープニングはビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」ですが、歌詞の意味もへったくれもない、ただただハッピーな男女複合コーラスの腰砕けのカヴァーでまず大笑い。さらに、その「ヤング」な雰囲気が、今となっては絶滅種に近いステージ101の「怪獣のバラード」や鼻声オヤジの間合いも絶妙な「マナマナ」のカヴァーまで、冗談か本気かわからないような理屈抜きに面白い曲がならぶセレクト。そんな中、フリー・デザインによるセサミのテーマ曲や、キング・クリムゾンの「風に語りて」の初期ヴァージョン(女性ボーカル)が、ひっそりとした美しさをたたえてハッっとさせられます。

●P5さん(http://www4.ttn.ne.jp/~sa-hiro/

1曲目がビートルズの「I've Got A Feeling」のネイキッド・ヴァージョン。随分とハードな印象になったと同時に持ち前のソウル度もアップしたように思えます。そのソウル度の熱を引き継いだように、「レット・イット・ビー」では準メンバーだったビリー・プレストンの「マイ・スイート・ロード」のカヴァーから、お得意の黒人音楽へ選曲が流れていくあたり、なかなか上手く聴き手の心をつかんでいますね。普段猟盤日記を見て気になっていた70年代ソウルのアルバムから、さらっとリズミカルな曲を選んでいらっしゃいますが、黒人音楽といってもコテコテではないのでロック畑のリスナーの方々にも耳に馴染みやすいのではないでしょうか。特にメロディーが素敵な楽曲が多く、後半の流れはどれもツボでした。スイートといってもベタベタではなくサラっとしているし、フィーリーっぽいブラスやストリングスが絡む曲でも、ちょっぴりローカルなイナたい雰囲気もあって、安易に商業主義的ではない感じが好感持てますね。後半はキッズ・ソウル系が並びますが、渡辺満里奈の「バースデイ・ボーイ」の元ネタで有名なフォスター・シルヴァーズによるポール・マッカートニーの「アンクル・アルバート」のカヴァーが不思議な余韻を残して終わります。これはいつか買おうと思っていた盤でしたが、ようやく決心がつきました(笑)

(写真)キング・クリムゾン「ア・ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・キング・クリムゾン
「21世紀の精神異常者」が入っていないベスト。牧歌的な選曲が素敵。詳しくはこちら↓
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=168425&log=20021119