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ジョン・サイモンというと、反射的にジョン・セバスチャンとピーター・ゴールウェイを思い出しちゃうボクですが、単にメガネをかけて人柄が良さそうなアメリカ東海岸のアーティストという感じが、そう思わせるのでしょうか。ただジョン・サイモンは、プロデューサーとして音楽業界に入った人のようなので、シンガー・ソングライターといっても、どこか飄々として、冷静な人という印象もあります。ちょっとした音楽通なら、彼が手がけたプロデュース作品は有名すぎるでしょう。そうです、ザ・バンドの初期の2枚ですね。実際ジョン・サイモンが自分のソロアルバムを出そうと思ったのも、彼らからの影響だといいます。
歌声も、あまりお上手とはいえないんですが、「うた」というのは「歌が上手い」というだけじゃなくて、その人の個性が正直に出れば、それでいいんだということを彼の歌は教えてくれます。90年代から精力的に「シンガー」として活動している彼ですが、ただボクには、やっぱりワーナーで70年代初頭に彼が残した「ジョン・サイモンズ・アルバム」と「ジャーニー」が非常に印象深いです。
ボクがこの2枚は手に入れたのは、まだCD化される前のアナログ盤でしたが、どちらも日本盤で、リアルタイムから数年たって発売された再発LPでした。ファーストは小倉エージ氏が解説の「ロック名盤復活シリーズ」の一枚、セカンドは、そのシリーズの第2回で矢吹申彦氏が解説。つまり、アメリカで発売されてから5〜6年経った時点で、すでに「幻のアルバム」だったというわけです。つまり、リアルタイムでは全然売れなかったLPということになるのですが、おそらくザ・バンドが徐々に日本で人気が出てきたのとリンクするように、このジョンのアルバムも、音楽ファンの間で注目を浴びたということでしょう。ちなみに、このワーナーの名盤復活シリーズは、エリック・ジャスティン・カズやフィフス・アヴェニュー・バンド、ピーター・ゴールウェイなど、その後のCD時代の「名盤探検隊シリーズ」にラインナップな似てなくもありませんね。
ファーストは、ある種の「軽さ」を身につけたザ・バンド風のアメリカン・ロックで、これも名盤だと思いますが、セカンド(写真)には、彼のルーツのひとつでもある「ジャズ」がキーワードになって、とてもユニークな音楽になっています。シンガー・ソングライター的な朴訥とした歌声に、柔らかなホーン隊とスウィングするリズムが絡み合い、とても「ゆる〜い」空気感がなんともいえません。人によっては眠くなるだけかもしれませんが、この雰囲気は唯一無比だと思います。
「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」というバラードが好きです。「ボクの奥さんはクリスマスになっても戻ってこない」と歌う悲しげなクリスマス・ソングです。