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ブライアン・ウィルソンの「スマイル」('04)は、あの未発表アルバムをよくそこまで再現してくれたと拍手喝采した素晴らしいものではありましたが、この「サーフズ・アップ」('72)をひさびさに聴いてたら「う〜ん、この時期のビーチ・ボーイズなら、気合いを入れればスマイルを丸ごとリメイクできたんではないか?」などと、余計なことを考えてしまいました。それほど「サンフラワー」('71)から「サーフズ・アップ」までの他メンバーの音楽的充実度は高い。でも、代わりにブライアン本人はドラッグ中毒で半隠居状態。さらにはセールス的にはドン底であったりと世の中上手くいかないもんですね。ちなみに、この時期「ランドロックド」という未発表アルバムもあります。未発表が好きなバンドですなぁ(笑)
タイトル曲もどういうわけかブライアン・ヴァージョンより、こちらの方が好きです。ボクは昔スマイルのブートを聴きながら、もし発表されてたら絶対にラストはこの曲だろうと勝手に思い込んでいたのですが、実際にブライアンのソロの方では「グッド・ヴァイブレーション」がラストでした。スマイルって、やっぱりタイトル通りの明るい雰囲気のアルバムなんだなぁと、考え直すと同時に、ちょっと戸惑ってしまったのも事実です。
「ティル・アイ・ダイ」もブライアンはソロで発表してますが、こちらの方のアレンジが未来的に響きます。それはアルバム全体にもいえることで、特に72年とは思えぬシンセサイザーの使い方とセンスは実に個性的です。シンセ・ベースが変な音でブリブリなっていたりするんですが、それがまたユーモラスでいいんですね。おまけに70年代になってレコーディングやミキシングの技術が飛躍的に向上してアンサンブルが実に気持ちいい音でなってくれます。コーラスの美しさも格別。やっぱりコーラスあってのビーチ・ボーイズと痛感。ハイラマズなど、かなりこの時期のビーチ・ボーイズ度が濃厚なんですが、さすがにコーラスのアンサンブルだけはかなわないんです。
カール・ウィルソンらの他のメンバーもブライアンに追いつけ追い越せとばかりに、いい曲を書いてます。ブルース・ジョンストンの「ディズニー・ガールズ」など、今やスタンダードといってもいいでしょう。