ビーチ・ボーイズといえば、この「サンフラワー」('70)がまた大好きな1枚だったりします。自らのレーベル「ブラザーレコード」の第一弾ってことで、そうとう気合をいれた1枚だったのでしょう。が、セールス的に結果は惨敗。70年代初頭には、ビーチ・ボーイズのような健全(?)なポップ・ミュージックは、あまりカッコがよろしくないように捕らえられてしまったのでしょうか。一部のファンが「まぁ元気にやってるな」ぐらいの気持ちで受け入れただけだったのでしょうね。過去のヒット曲を聴きたさにライブに足を運ぶ人は多かったようですが。


「ディス・ホウル・ワールド」や「フォーエヴァー」はブライアンの嫁さん姉妹バンド「スプリング(元ハニーズ)も取り上げてますが、出来はこちらが上。アレンジが本当にグレイト。「君の人生にちょぴり音楽を」と唄う「アド・サム・ミュージック・トゥ・ユア・デイ」は、なんでコレがヒットしなかったのというくらいビーチ・ボーイズらしいコーラスとフォーキーな曲調が印象的です。ブルース・ロックな「ガット・トゥ・ノウ・ザ・ウーマン」はイマイチ苦手ですが、続くブルース・ジョンストン作の「ディードリ」が大好きなわけでして、この美しさといったら!オープニングの「♪ディードリ〜」というハーモニーだけで、耳がとろけそうになる名曲です。しかし「イッツ・アバウト・タイム」はウッドストック・ムーブメントの悪しき影響か、これはイマイチ(歌詞が・・・)


でもB面が名曲だらけ。深いエコーと分厚いコーラスで淡々と唄われる「オール・アイ・ウォナ・ドゥ」は、まさに70年代版フィル・スペクターみたいです。「アワー・スイート・ラブ」のストリングスと転調する複雑なコード進行もスゴイ。日曜の朝気分に浸り幸せな気分になれる「アット・マイ・ウィンドウ」から、例の「スマイル」の音を一部使った「クール・クール・ウォーター」の流れが、いまだに古さを感じさせない野心的な音作りの姿勢も垣間見れます。このあたりハイラマズの新作に収録されていても、なんの違和感もない音ですが・・・と、ここまで書いてハイラマズが聴きたくなってきました(笑)ハイラマズも最高に好きなバンドなもんで。


でも、本来ならブライアンの新作が、こうあるべき、というか、こうあって欲しいなぁというのがファンの贅沢な願いなんですけどね。