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いつも笑顔のカーペンターズのくせに、このジャケットは笑っていません。まるで呆然とした顔でドライブに出かけている姿は、アメリカからの逃亡か?しかもこれ、見開きジャケットを開くと、写真ではなくイラストだと判明し、それが、あまりにも典型的かつ無機質なアメリカン・サバービアの情景なのが、ひたすら怖い。
ベトナム戦争の傷を癒すには、ひたすらノスタルジックに甘い夢を、と思ったのか、単にライブでやったから好評だったからなのか。アナログB面のオールディーズ・メドレーは、兄リチャードのポップスへの執念すら感じます。が、やはりカレンの歌声でしょう。人間のDNAレベルで、万人の心を狂わせる甘い毒薬のような声。
映画「アメリカン・グラフティ」も、この時期。アメリカ人が「イエスタデイ・ワンス・モア」に共感したくなる気持ちもわかりますが、世界各地でも大ウケ。ロックが難しくなりすぎた時期には、こんな究極の王道ポップスも新鮮だったのかも。パンク時代のアバと共通する過激なまでのわかりやすさが、今となっては、むしろ狂気。