「ひとりぼっちのスタジオ」という、ちょっと悲しい邦題の通り、ほとんどの楽曲をデイヴ・エドモンズ本人による多重録音によるアレンジで仕上げたアルバム。全曲50年代から60年代にかけてのロックン・ロールやポップ・ヒットのカバー曲ばかり。アーティストであるより、まず大の音楽ファン、ということなのでしょう。


2曲のフィル・スペクターのカバーでは、ぶ厚いオケのエコーで、なんとか本家に近づこうと、涙ぐましい努力が垣間見れます。不思議なことにロイ・ウッドなんかもそうですが、1人多重録音に没頭するミュージシャンほど、スペクターのような大人数のポップ・シンフォニーに対する憧れが人一倍強いような。


しかしデイヴの場合は、他のロックン・ロールカバーなど、かなりドライでシンプルなサウンドも同時にこなしていて、甘さだけに流されないところもポイント。とぼけたユーモア感覚も。そういう意味では、70年代の大滝詠一(ナイアガラ)サウンドにも近いものが。というか、本当にソックリ。