演歌とポップスは融合できるか?

bluemarble2005-01-05

これは西田佐知子の「くれないホテル」というシングルなんですが、不思議な曲なんです。一言で言えば「演歌とバート・バカラックの出会い」といいますか。おそらく60年代終わりくらいの曲なんでしょう。この頃、歌謡曲というものは、演歌もポップスもひとつの「流行歌」として世間に認知されていたからこそ、こういう不思議な曲もいくつか生まれていたのですね。ですが、いつの頃からか「演歌」という呼び名が幅を利かせるようになると、もうほとんどポップス側から演歌の世界へのアプローチという感じの曲は少なくなってきたように思います。
もちろん演歌の人が歌番組でポップスを歌うという場合もあるのですが、肝心の自分の持ち歌になると、ほとんどポップスとの接点がないような「ど演歌」だったりするのが悲しいです。まぁ、ポップス風味の演歌なんていうのは、もうセンスが悪いと更にヒドイものになってしまうのは目に見えてるわけで、非常に難しいアプローチではあるんですけどね。でも、この「くれないホテル」みたいな、バカラック的な洗練されたメロディーに、ちょっとムード歌謡の感じも入って、なおかつちょっと下世話な感じもあるという、こんな感じの演歌だったら好きな感じですね。こういう曲って、もう今の時代には生まれないんだろうか?ちなみにこれは筒実京平&橋本淳の黄金コンビの作品です。有名な「ブルーライト・ヨコハマ」なんか、実は演歌とボサノバの融合を試みたりしてたのかな?なんて今では思ったりもするんですが。
純粋な演歌とはいえませんが小林旭の「熱き心に」や森進一の「冬のリビエラ」なんて、完全に演歌もポップスも一緒になった純粋な「流行歌」としかいいようがない作品でしたね。共に大滝詠一松本隆の、こちらも黄金コンビの作品。しかし、これ以後、世代を越えて親しまれる良質な「流行歌」というのは減ってしまいました。氷川きよしは大人気ですけど、曲になると、ほんとモロに演歌ですからねぇ。後は「マツケンサンバ」ぐらいですか?でも、あれはマズイでしょ。かなり恥ずかしい(笑)
なんで演歌の話をしたのかといいますと、実はblue marbleで演歌の曲を書いてくれという依頼が来たのですよ。といっても身内の演歌歌手がCDを出したいということなんですけどね。一体どういうつもりなんでしょうか・・・。でもただ断るのも口惜しいので、書いてやろうと思いますよ、「くれないホテル」並みの傑作をね。