高橋ユキヒロの「What Me Worry?」('82)です。個人的には、このアルバムまでのユキヒロ氏の音楽が一番大好きでしたね。前作同様テクノ路線をひた走っているとはいえ、坂本龍一氏の美メロが冴える「Frash Back」のような日本語のポップなレゲエ感覚の軽やかな曲もあり、グッと音楽性に幅広さがでて華やかになった印象があります。この華やかさも一歩間違えれば下品になっちゃうものですが、さすが全盛期のYMOのメンバーがバック・アップしているだけあって音のクオリティは格別。とにかくこの頃までのユキヒロの音楽は無敵のカッコよさでした。地味なジャケットの印象もあって、あまり知られていませんが、これは大傑作アルバムですよ。

とにかくアレンジというよりもサウンド・デザインという感じのスタイリッシュなシンセ音がたまりません。この頃のシンセサイザーの打ち込みなんて、今よりも編集機能も荒く、使いづらかったのかもしれませんが、このゴツゴツした手ざわりがなんともヴィンテージでいいのですね。シンセの音も「太い」という感じ。ユキヒロ氏のボーカルは、より色気が出てきていますね。ラストはビートルズの(というよりジョージ・ハリスンの)「It's All Too Much」で盛り上がります。ユキヒロ氏は大のジョージ・ファンなんですね。音楽性にもよくあらわれています。

さて、ちょうどこの頃、ユキヒロ氏はコンサート・ツアーをやっていたのですが、そのツアーの82年7月26日、新宿厚生年金会舘の模様が当時NHK−FMでオンエアーされたのですが、これをちょうど小学校の頃エアチェックして死ぬほど聴いた記憶があります。もう本当にカッコいいライブで、このアルバムを聴く度に、そのテープ(今でも持ってます)を聴きたくなります。このライブの模様は、「YEN BOX」というボックス・セットのボーナス・ディスク盤で一部復活したのですが、このライブの模様を全編収めたものを絶対にCD化発売すべきだと思ってます。メンバーがまた超豪華で、坂本龍一細野晴臣はもちろん、鈴木慶一立花ハジメ土屋昌巳加藤和彦、スティーブ・ジャンセン、デヴィッド・シルビアンという、一体どうしちゃったのというほどの凄いメンツ。しかも細野さんの歌う「スポーツ・マン」もあるし、ラストはYMOの「CUE」で盛り上がりという、ある意味でYMOのライブよりも全然盛りあがっています(女の子の黄色い声援から、当時のYMO人気がうかがえますね)。なんだかアルバムの話からそれちゃいましたが、もうすぐ紙ジャケでCD化されるこの「What Me Worry?」がもし好評だったら、今度こそ是非是非、あの幻の新宿厚生年金会舘のライブのCD化をお願いします!関係者のみなさん。ファンはみんな待ってますよ。