F・O・Eというのは、細野晴臣だけがメンバーではなく、他にもYENレーベルから細野氏プロデュースでデビューしたインテリアというバンドのメンバーだった野中英紀、そして作曲家、アレンジャーとしてアイドルなどを手がけていた西村麻聡という3人が、このプロジェクトを引っ張っていました。当初は細野晴臣のソロの延長線のような音でしたが、徐々にこの若手2人にサウンドの具体化を任せていくにつれ、細野色は弱くなっていきます。

これはセカンド・ミニ・アルバム「Decline Of O.T.T」('86)という3曲入りで、サウンドは前作よりも細野色が弱くなった分、一段とニューヨークあたりのダンス系ヒップホップ色が強くなっています。当時の自分は、サウンドにYMO的な名残を求めていただけに、正直前作ほどピンとこなかったのですが、久しぶりに聴きなおしたら、えらくカッコよかった。それにしても黒人2人が相撲の格好をしてポーズをとるジャケットが意味不明ながらも、変にカッコよくて笑えます。

前作ほどの過激なビート感覚は薄らいだものの、いかにもヒップなダンス・ビートが心地よい「Dance Hall」は細野氏のボーカルがファンキーで素晴らしい。当時のニッポンで、ここまで洋楽的な音を作っていたバンドといったら、他には、これもYMO周辺では人気だったMELONぐらいしか思いつきません。とにかく徹底的に「ダンス」を主体に音楽を作っているところが、単純に楽しく踊れるというよりも、どことなく終末観が漂っていているのです。

というわけで、これを聴いてその後発表されるフルアルバムに期待していたのですが、ここで、F・O・Eにとって「ある事件」が起こってしまいます。そして以後F・O・Eの活動は急に失速していくのですが、それについては次回にて。