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高校生の時、ボクはローリング・ストーンズのカバー・バンドでドラムを叩いていました。ボクの人生で最大にモテた時期かも。とにかく女の子が客席でキャーキャー騒ぐんですよね。ライブの後に女の子に「ファンです」なんて手紙渡されたり。さすがストーンズはモテるぜ(笑)
そしたら、何処で調べたのか、その手紙の女の子がボクの家まで電話をかけてきて、「今度デートしましょう」なんて急に言われ絶句したりして。しかし女の子からデート誘われるのもまんざらでもなく、駅前の噴水広場で待ち合わせ。2人で喫茶店に入ったものの、大して話題もなかったのでボクのバンドの話をしていたのですが、途中、半ば意地悪く「ストーンズなんてちゃんと聴いたことあるの?」なんて質問してみました。すると彼女は「聴いたよ。フラワーズってやつ」と答えました。
何故に「フラワーズ」なのか。たしかに「ベガーズ・バンケット」なんて買われても「わかんない〜」って言われそうですが、あんなアメリカ編集のフラワー・ムーブメントに便乗したような安易な編集アルバムなんて買わなくても・・・というのは今だからいえるオタクの発言。当時はその「フラワーズ」、一応持ってたけどちゃんと聴いたことなかった。
彼女は「バック・ストリート・ガールって曲が大好き」なんて言ってたから、デートに備えて予習してたんだろうな。でも、その時、ボクはその曲がどんな曲か思い出せなかったので、テキトーにお茶を濁して、次の話題へ。
家に帰って聴いた「バック・ストリート・ガール」は、アコーディオンが印象的な3拍子の静かなフォーク・ソングで、およそストーンズらしくない曲でした。いや「ルビー・チュースデイ」で始まり「レディー・ジェーン」なんてクラシカルな曲まで入ってるこのアルバムは、あえて「ストーンズらしくない曲」を集めたかのようなポップで可愛らしいアルバムなのかもしれません。ラストを締めくくる「シッティン・オン・ア・フェンス」も、フォーク調で、静かな余韻を残して終わります。
その後、彼女とは何があったのか大喧嘩をして別れましたが(理由は思い出せない)、「バック・ストリート・ガール」を聴く度に、ボクは不思議なほど甘酸っぱい気持ちになります。もう彼女の顔もほとんど忘れちゃったけど、胸が高鳴るようなあの頃の気持ちだけは、心のどこかにまだ残っているんだろうな。ロックン・ロールだけじゃないストーンズの魅力に初めて気づかせてくれた彼女に、今だから「ありがとう」と言いたい気持ち。