ファイヴなのに5人じゃないのはピチカートだけじゃなくて、このベン・フォールズ・ファイヴもそう。ピアノ・トリオでロックなんて最高じゃんと思わせた衝撃のファーストは、ここ日本でもセールス的にバッチリでした。おかげで今じゃバーゲン品のお約束品・・・ですが内容は悪かろうはずが無いわけで。しかし、真価は、このセカンド「Whatever And Ever Amen」('97)にアリと思うのはボクだけでしょうか。こりゃ、どう考えても名盤としか思えないです。

純粋にピアノ・トリオ編成だけでポップに突っ走るファーストから一転して、曲のアレンジが一気に多彩になってます。大編成のブラスが入る曲や、信じられないくらい静かなバラードも。でも、なんといってもギターを入れなかったのが正解ですね。おかげで、どんなにアレンジが多彩になっても、耳に残る印象は、ちゃんとピアノ・トリオというところに落ち着くわけです。割と後半になると飽きてくるファーストとは違い、このセカンドは、とにかく名曲だらけ。最後まで飽きさせません。本当にいいメロディーが多いんです。

1曲目から、まるでライブのアンコール曲みたいな強引なテンポ突っ走るポップ・ロックで、どう考えてもドンカマ無視としか思えないドラムのドタバタっぷりが最高です。思えば、このベン・フォールズ・ファイヴの魅力は、ピアノだけじゃなくて、ブイブイと唸るベースや、このドタバタと落ち着かないドラムにもあると思うのです。それは解散してソロになったベン・フォールズのアルバムを聴いて、余計にそう思いました。ヘタクソでもヤケクソでも勢いのあるバンド時代のサウンドの方が全然好きですね。

なんとストリングスまで入っちゃう5曲目のワルツ・スウィングの曲を聴いた時、なんとなくXTCを思い起こさせたのですが、演奏の豪快さは、やっぱりアメリカンという感じなのに、メロディーはブリティッシュっぽい陰りがあるのも不思議なバンドです。やっぱり、こういう曲を聴いちゃうと「メロディー万歳」って思っちゃいますね。

ちなみに日本盤はジャケが違いますが、なぜかこのショボイ感じの海外盤ジャケが味。まぁ、このセカンドもバーゲン品の常連みたいだけど、みんな飽きちゃったのかなぁ。ボクは全然飽きないんだけどねぇ。ちなみにサードは、なぜかプログレみたいになっちゃってキライじゃないけど、評価不能。う〜ん・・・?

●「ショック太郎のマテリアル・ワールド」にて「坂本真綾まとめてレビュー」連載中。
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