今度はキリンジの兄の方です。兄貴派、弟派という論争もあったりするとかしないとか。ボクはといえば、やや兄貴派ではあります。兄の方がスティーリー・ダン魂が炸裂したようなヒネくれた曲調や歌詞が多いんですが、それでも妙にホロ苦いメロディーの美しさに、悔しいながらも感心させられてしまうのです。そうキリンジでいうと「悪玉」や「切り花」といった曲。

で、この初ソロ「Home Ground」を聴いたら、これが弟同様、随分と軽い感触なんですね。こうなると、別にキリンジ名義で2枚組でいいじゃん!って文句もひとついいたくなるけど、結局ボクは、兄と弟のダブル新譜で6千円払ってしまったわけです。トホホ。キリンジ名義の2枚組なら4500円ぐらいだったんじゃないの?

でも、弟同様、兄も、これまたオープニング曲が最高なのです。その名も「絶交」。すごいタイトルですね。この軽やかなフォーク・ロック調の明るいポップな曲を聴いて、「こりゃ名盤かも」と思いましたが、う〜ん後半になるにつれて、徐々に醒めていきました。どうも、イマイチ、メロディが冴えない。中途半端なインストも、なんだかなぁという感じですしね。もっとも、そこいらのJーPOP(って表現は、あまり好きじゃないけど)に比べたら、全然クオリティが高いんですけどね。まぁ、それだけ、こちらの期待が大きすぎたというわけですね。

シングルになった「冬来たりなば」は、歌いだしの切ないメロディと、サビのキャッチーな開放感が見事に対比して、極上のポップ・ソングになってますし、「クレゾールの魔法」は、まるで中期スティーリー・ダンそのものの曲調にハッとさせられます。つまり冒頭の3曲が、どうやらボクの好みで、他の曲は、あまり印象に残らないんですね。もっとも聴き込み不足なだけかもしれませんので、また印象が変わるかもしれませんけどね。

さて、肝心のキリンジはどうなるのでしょう。来年のアルバムに期待してます。