「お宝自慢」という自己満足シリーズの続きです。で、今回は「ウォーカー・ブラザーズ・イン・ジャパン」という日本独自に発売されたレコードです。運良くレコ屋にあれば相当安い盤だとは思いますが、こういう60年代当時に来日したアーティストの実況録音盤の音源って、なかなかCD化されないんですよね。つまり音源そのものが貴重というわけです。このウォーカーズも、熱狂的な日本のファンへのプレゼントという意味でレコード発売されたんでしょうけど、それほど当時の彼らって、日本でミーハー的にスゴイ人気だったんですよ。それこそビートルズに匹敵するか、それ以上。このレコードを聴いても、もう客席で女の子がキャーキャー叫んでいて、もうすごいことになってます。

ボクはウォーカー・ブラザーズって大好きなんですよ。イギリスの遅れてきたフィル・スペクター的分厚いオーケストラ・サウンドが特徴で、「太陽はもう輝かない」や「ウォーキン・イン・ザ・レイン」(ロネッツのカバー)なんて、ほんといつ聴いても最高。特にスコット・ウォーカーのボーカルは迫力があって、個人的にはライチャス・ブラザーズのビル・メドレー並にソウルフルな歌声だと個人的には思っています。

で、この2枚組のライブでも、演奏は、さすがにスタジオ盤のような迫力はなくショボイんですけど、とにかくスコットのボーカルの力だけでグイグイとひっぱる説得力があります。選曲もベストなんですが、星加ルミ子さん(当時のミュージック・ライフの編集長)の解説によると、実はこの時、もうウォーカーズは既に解散していたようす。おそらく日本の異常なまでの人気に根負けして、解散直後に一時的に再結成して日本ツアーを行なったのではないでしょうか。その音源が日本独自に発売されたライブ盤になったというわけです。

面白いのは、当時のライブの日本人司会者の声がバッチリ入っている点。たしかウェザー・リポートのライブ盤なんかにも日本人司会者の声が入っていてビックリしたことがありますが、これが何とも「ショー」っぽくて、いいですね。

来日の実況録音盤には、マイルス・デイビスの「アガルタ」、チープ・トリックの「武道館」、そして我等がベンチャーズの「イン・ジャパン」のように、その後に海外でもスタンダードになったアルバムも多数あります。