P−MODELのファースト「イン・ア・モデル・ルーム」(1979)ですが、今聴くと、まるで初期のXTCにソックリですね。チープなオルガンの音、ストレートにパンクにはならないスッカスカの音とキメの連発、素っ頓狂なボーカル、妙にキャッチーでメロディアスなフックなど、共通点が多いように思います。

同時代にテクノ・ポップと呼ばれたバンドであるプラスチックスヒカシューに比べてもテクニック的にズバ抜けているように感じますが、やはり前身がマンドレイクというプログレ・バンドだったせいでしょうか。マンドレイクは正式なアルバムは一枚も残さなかったという幻のバンドですが、一昔前に未発表マテリアルがCD化され、その凄まじいクオリティに驚愕したものです。おそらく日本でキング・クリムゾンに匹敵するクオリティに達した唯一のバンドといってもいいでしょう。が、時代の変化か、急にカラフルで軽い路線にシフト・チェンジしてしまうわけです。ただ軽いといっても軽薄というわけじゃなくて、ムダを省くといいますか。これもまたひとつのキャリア組を活性化させるパンクの役割のひとつの例なのです。

このアルバムは小学校の時にレンタルして、カセットで毎日のように聴きまくりました。とにかくすごくいろんな意味で影響を受けたと思います。ジャケットのポップ・アートみたいな絵を、家にあったオセロでマネしたりとかね(この程度の影響が小学生の限界・・・)。スピード感溢れるバンド・サウンドに、子供ながらに「スゲェ、やっぱプロは違うなぁ」と妙に感心したかと思えば、ラストに入っているクラフトワークもどきのバカ・テクノ曲を聴いて「なんじゃこれ?これじゃオレでも作れそうだ」と勇気をもらったりとか(笑)

あと、歌詞がね、結構好きだったんですよ。さすがにどんどんシュールで不可解な言葉使いになっていくP−MODELも、ファーストやセカンドの時点では、まだ俗世界との対立に終始しているんです。そういう単純な反骨精神が子供にはカッコいいしわかりやすい。考えても見れば、ロックの基本じゃないですか、これって。

テクノでもパンクでもニューウェイヴでも、ジャンルなんて何でもいい。でもボクは、これこそ胸を張って「日本のロック」だと言いたいですね。