ピチカート・ファイヴの「野宮真貴時代」っていうのは結構苦手系が多かったんですが、こうやってシングル盤を集めたような編集盤を聴いてると、なかなか勢いがあっていいもんです。ジャケが「カップルズ」に似ているのも好きです。


全部で20曲もあるんですが、「スウィート・ソウル・レビュー」「東京は夜の七時」「ハーピー・サッド」と、ノッケの3曲は当時ちゃんとシングル盤を買ってた頃だけに、つかみはOK。「陽の当たる大通り」と「メッセージ・ソング」の歌詞にも、ちょっとホロっときます。ただ、中盤はメロディーが出涸らし状態になって、だんだん飽きてくるんですが(笑)レトロ歌謡みたいな「モナムール東京」とかは昔も今も苦手かも。反対に「大都会交響曲」は小西さんのロジャー・ニコルス好きがよく出たソフトロック的な作品で好きかも。活動末期は、開き直ったようなワンパターンっぷりに、なんだか別の意味で凄味が出てきてます。


同じようなリフや、以前使ったメロディーや歌詞を平気で引用するセンスは、ピチカートならではですが、なるべく同じような曲を書かぬよう日頃から努力している自分が「それってズルい!」とか当時思ってたのも事実です。証券取引法違反ならぬ「作曲引用法違反」じゃないかと(笑)


小西さんは、おそらく手塚治虫アンディ・ウォーホルを目指してたんでしょう。情報量と好奇心さえ人一倍大きければ、多作であるということだけで芸風になることもあるんですね。