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次回のセレクトのお題が「真夜中に聴きたい音楽」に決まりそうなんですが、ふと思ったのが、このギル・スコット・ヘロン。何せ彼の率いるバンド名が「ミッドナイト・バンド」ですからね。で、この「イッツ・ユア・ワールド」('76)という(アナログは)2枚組アルバムなんて、まさに夜が更けていく様子をドキュメントしていくような素敵なアルバムなんです。もともと詩人であり、黒いボブ・ディランとも言われたことのある彼ですが、音楽的にはフォーク・ロックというよりジャズやラテン、ソウル色の強いもの。スティービー・ワンダーやジャミロクワイなんかが好きな人は必聴でしょう。というか、そういうのが好きな人は、もう知ってるか(笑)
A面がスタジオ録音で、B〜D面がライブ録音。それぞれのサイドに[Just Before Sunown][Nightfall][Late Evenihg][Midnight And Morning]というお題がついてます。つまり、夕方にスタジオでレコーディングして、夜はライブをして、さらには深夜までジャム・セッションで盛り上がって、気がついたら夜が明けてた、みたいな感じの雰囲気になっているわけです。
A面のスタジオサイドの3曲は、どれも名曲。タイトル曲なんて、一時期のオリジナル・ラヴあたりのサウンドそのまんまのサウンドで、アシッド・ジャズとかレア・グルーヴとか、そういうのが盛り上がっていた頃には、これをDJで流すと盛り上がったんですよ。まぁ、昔DJみたいなのやってたボクの発言ですが、今はDJとか、あんまり興味ないな(笑)それはともかく、続く「Possum Slim」も死ぬほどカッコいいベースのフレーズも好き。3曲目の「New York City」はギルの代表曲。
B〜D面のライブも、めちゃくちゃ盛り上がっていて最高。ライブですが、音もクリアーでいいんですよね。ダニー・ハサウェイやカーティス・メイフィールドのライブ盤と並べても、なんら遜色のないもの。ジャズやラテン色も強くなり、お決まりのポエム・リーディングも披露してくれますが、やっぱり最後は代表曲「ザ・ボトル」を13分にもわたって演奏。観客の盛り上がりも最高潮。で、気がついた夜が明けていたってわけ。
真夜中の音楽にはフェンダー・ローズのエレピの音がよく似合いますね。