「Pacific」('78)と「エーゲ海」('79)というインストゥルメンタル・アルバムの2in1のCD。その名の通り、南洋とエーゲ海をテーマにしたフュージョン風味のムード音楽ではあるんですけど「Pacific」の方は曲提供とアレンジで参加しているのが細野晴臣山下達郎鈴木茂となればファンは無視するわけにもいかないでしょう。


オープニングの「最後の楽園」は、まさにトロピカル3部作路線そのままの細野らしいエキゾ・インスト。さらに驚きなのは「コズミック・サーフィン」。なんと高橋幸宏坂本龍一の両者が参加しているという、まさに「プレYMO」なテクノ・ディスコなのです。しかもソニーはポリフォニックスという名義で、この曲のシングル盤まで出す始末。YMOのデビュー盤のヴァージョンよりモロにテクノなサウンドが笑えますよ(当然アルバムでも浮きまくってる曲)。


鈴木茂はギターを全面にと思いきや、意外にもアレンジャー魂に忠実なオーソドックスなサウンド。ヴァン・マッコイ風味の「パッション・フラワー」は時代を感じますが、「コーラル・リーフ」「ノアノア」はメロディアスでいいです。ソロ・アルバム「ラグーン」と続けて聴きたいですね。


圧巻は山下達郎の10分にも及ぶギター・インスト(本人の多重録音です)。ビーチ・ボーイズ&デュアン・エディみたいな感じで、そのまま「BIG WAVE」につながりそうなサウンドです。チラッと出てくる「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」のコーラスにファンはニンマリ。


エーゲ海」の方は細野晴臣はそのままで、他に松任谷正隆石川鷹彦(ニュー・ミュージック系のアレンジャーでギタリスト)が参加しています。「Pacific」に比べるとつまんないもあったりするのが難点ではあるものの、細野提供の「ミコノスの花嫁」、石川提供の「デイ・ブレイク」、松任谷提供の「アイランド・ガール」あたりは、なかなか素敵なサウンドです。


ジャケと内容の一部を変更し、坂本龍一の「サマー・ナーヴス」の曲も追加収録した「Island Music」と「Off Shore」というアルバムもあってややここしいんですが、前者は小学校の時にレンタルした思い出深い愛聴盤。懐かしいです。