キング・クリムゾンの定番。初めて聴いた中学生の時、ジャケのインパクトとオープニングの「21世紀の精神異常者」(この邦題まずいんだっけ?)を聴いて「スゲー!」と大興奮したものの、その後「風に語りて」「エピタフ」と異様に地味な曲が続き、なんだか拍子抜けしたという事実があります。「ムーン・チャイルド」の後半に至っては、いつも眠くなってしまい、おかげでラストの「宮殿」で熟睡。大体「ロック100選」とかで選ばれるレコードって、聴いたら「アレレ?」というのも結構当時ありましたね。ピンク・フロイドの「狂気」ですら昔はピンとこなかったもの。プログレというと、イエスの「こわれもの」や「危機」は、すぐに好きになれたんだけどなぁ。あれはわかりやすいからね。


しかし、この「21世紀の〜」って、今聴くと随分ブルージーですね。気が狂ったオールマン・ブラザーズ・バンドといえなくもない(笑)ボクは中学、高校の頃、よく好きな洋楽曲を自宅録音でカバーしたりしてましたが、この「21世紀〜」も「ひとりバンド演奏」して録音しましたね。ところが後半のユニゾンになるものすごい複雑なフレーズだけ出来なくて・・・。その後、クリムゾンのカバーバンドを高校生の時にやったとき、リハーサルで3時間ぐらい、このユニゾンの部分だけをみんなで練習していたという(笑)いや、こんな努力をしたところで、モテないんですけどね女子には。クリムゾンって「男だけの世界」って感じがしますから。クリムゾンが好きという女の人って今まで聞いたことない。


「風に語り手」はフルートが優しく奏でる牧歌的なフォーク・ロック。ちと長いのが難点ですが英国的な湿り気具合がたまりません。これって、シンプルだけど、なかなか思いつかないコード進行。「エピタフ」は、もうメロトロンといえばコレって感じの壮大な名曲ですが、昔はサビが演歌みたいでキライだったなぁ(笑)「ムーン・チャイルド」も「風に語りで」をさらに優しくしたような牧歌的な雰囲気が最高です。後半のインプロビゼーションというかフリーパートは賛否両論だと思いますが。


とはいえ、そのフリーを挟んで、ラストの「クリムゾン・キングの宮殿」の壮大な盛り上がりにつながるという構成の妙が、このアルバムの最大の聴きどころ。やっぱりいいわ。気がつくと病み付きになる、そんな名盤です。