Bread,Love and Dreamsとは、なかなかに素敵なバンド名ではありませんか。結局その3つさえあれば生きて行けるというこのなのでしょう。この「アマリリス」('71)というアルバムは彼らの3枚目のアルバムで、古くから英国プログレ好き、英国フォーク好きの間ではレア盤として騒がれていましたが、15年前くらいに我が国でCD化されたんですよね。そのときメロウキャンドルなんかも再発されましたが、英デッカというレーベルは大手ながら、こういうユニークで奇妙なバンドも多かったようです。大手なのにアングラっぽいバンドが多い。


当初は3人組でしたが、基本的には男女2人組のフォーク・グループです。主に曲を書いて歌うデヴィッドと、ちょっと頼りなげで儚い感じのボーカルのアンジー。サポートメンバーで参加しているのはペンタングルのベース、ダニー・トンプソンとドラムのテリー・コックス。ただ音楽的にはペンタングルのようなジャズっぽさやブルースっぽさはあまりありません。むしろ男女ボーカルということから、スパイロジャイラに近いです。しかし、もっと何というか虚ろといいますか、いい意味でダラダラした感じがハマるとクセになりそうですね。サイケデリックなアシッド感といいますか。


サイケといえば、このジャケット。まるでバッド・トリップという感じのイラストですが、このジャケットがプログレ好きにはたまらないものがありますね。小さくてわからないかもしれませんが、右下に小さく白黒でメンバーの写真を無理矢理入れてる強引さも、何といいますか。「こんな、わけわらかんイラストじゃ売れるわけないだろ!メンバーの写真にしろ!」とレコード会社の上層部の社員に言われて、デザインを損ねない程度に渋々小さく入れたみたいな(笑)


A面全部を使った「アマリリス」という大曲ばかりが注目されそうですが、基本的には短い曲がメドレーで流れるという感じなので、変に大袈裟な感じじゃなくて、そこが逆に好感持てます。彼らの残した3枚のアルバムはどれもジャケも含めて素敵なんで、そろそろ紙ジャケで再発してもらいたいところですね。