中古レコード屋のバーゲン・コーナーに行くと、NSPだの紙ふうせんだの、そういう庶民派フォーク系に混じって、さらに「お前、誰やねん!」とツッコミ入れたくなるような無名のフォーク・グループがゴロゴロしてますよね。そういうレコードは、ほとんど場合、別に値段が高くなることはないんですが、このウェストウィンド(Westwind)の「Love is...」('70)は高いです。といっても、これは日本ではなく、海の向こうイングランドのフォークですけど。


その昔、とあるプログレ雑誌に載っていたこのアルバムのジャケを観てビビーンとくるものがありました。湖(沼か?)のほとりにたたずむ3人の憂いある表情やポーズをブルーで統一したさりげなくもセンスあるジャケット。こりゃ、もしかしたらスパイロジャイラかメロウキャンドルみたいな幻想的な英国フォーク・ロックかもしれない。と、淡い期待。しかし高い。某新宿の廃盤ショップでウン万円という値段とともに壁にいつまでも飾られていました。あぁ。


ところが、何故かこっそりとCD化。んで、期待して聴いたら、ありゃりゃ、別にフツーのモダン・フォークでした。というか、世界中にいくつも、それこそ星の数ほど存在していただろうピーター・ポール&マリー系のコーラスを生かした庶民派フォークでした。これが日本語で歌われ、かつダサダサのジャケットだったら、誰も見向きもしないような床下アルバムですってば。


しかし悲しいかな、英国フォークってことと、このジャケのおかげで、かつてのマニアは大騒ぎしていたしていたわけです。数が少ないというだけで値が釣りあがる現象がコレクター・ワールドの基本とはいえ、部外者からみれば、どこの誰とも知らないグループにウン万円も払うのは、滑稽というか、喜劇そのものでしょう。それでも「ない」といわれると、無性に聴きたくなるんだから、この世界に終わりはないわけで・・・。


と、ここまで書いて、音楽が良くなかったみたいに思われるとアレなんですが、2000円以内なら、そこそこ楽しめる、プログレとは対極に位置するようなモダン・フォーク・アルバムでしょうか。昔は日本盤シングルも出ていたそうです(と、またもコレクター話に戻ってるし)