ニルヴァーナといっても、あのニルヴァーナではなくて、こちらはイギリスのニルヴァーナ。60年代後半から70年代に活動したアーティストです。サウンドは、ちょっと大袈裟なくらいに盛り上がるオーケストラをバックにしたポップなロックかな。以前から好きなグループで、初めて聴いたのは、80年代にイギリスで編集されたベスト盤LPでした。オリジナルの英国盤は昔からレアで、今回紹介する3rd「トゥ・マルコス・スリー」('69)にいたっては、存在すら幻だったのです。それが今では日本でも紙ジャケでどんどんCD化されてるんですからスゴイですよねぇ。「ニルヴァーナUK」って日本語表記は少々違和感を感じるんですが。


なんでも、このサードアルバムは、当時アイランドが発売を見送ったらしく、アルバムを製作中だった彼らは「おい、そりゃないぜ〜」と、レコーディングを中断しそうになりましたが、ギリシャ在住のマルコス三世と名乗る怪しげなオッサン(メンバーの叔父だけど)にお金をもらい、無事制作を完了。アルバムはメトロメディアというマイナー・レーベルのアメリカ盤で発売された・・・と思ったら、今度は、そのレーベル会社が倒産。その後、パイで発売されるはずだった英国盤も、結局お流れ。プレス数はサンプルの250枚だけだったとか。そりゃレアにもなるわな。ボクは15年ぐらい前、何とかボロボロのアメリカ盤を入手しましたが、6000円だったかな。高かったけど、本当にそれほど聴きたかったレコードなんです。


レスリー・ダンカンとデュエットする「ラヴ・スイート」は、以前セレクト合戦の「カップルズ・セレクト」にも収録したことがありましたっけ。「アイ・トーク・トゥ・マイ・ルーム」「ブラック・フラワー」あたりは、これぞ大英帝国の王道ポップって感じの格調の高さが最高です。フランス映画のミュージカルみたいな「アライン・シェリー」も切ないメロディに泣ける1曲。ソフト・ロックともいわれるんですが、このグループには、あんまり似合わない表現かな。それにしても内容はポップで最高なのに、このおどろおどろしい骨ジャケは、昔から意味がよくわかんないなぁ。