ノースウィンド(Northwind)とは、随分と寒そうなバンド名ですが、音の方は実にホンワカと暖かい。これまた「イギリスのアメリカ」といえそうな西海岸フォーク・ロック風味の英国バンドです。「Sister,Brother,Lover・・」というちょっと恥ずかしい感じのタイトルのこのアルバムは1971年作品。スコットランド出身らしく、これ一枚で消えていったグループですが、何故か昔からプログレ・マニアの間では、レア盤として有名なアルバムでもありました。でも、これほどプログレから離れた音楽もない・・・ってくらいに、めちゃめちゃ素直に普通のロックなんですが。


とはいえ、何と言うか、曲が進むにつれて「あれもやりたい、これもやりたい・・・」という感じで、実に様々なスタイルのロックが演奏されるわりには、どれも中途半端というか(笑)いや、これは別に否定的な意味ではなくて、こういうまったりと自分たちのスタイルを試行錯誤しているようなロックって、時が過ぎると、独特の楽しみ方ができるもんなのですよ。この中途半端さって、中期のフリートウッド・マックにも通じる美味しさだと思いますね。あっちは、その後化けて売れましたが。


曲作りとか煮詰めないままで、ダラダラと展開していく感じは、リアルタイムで聴いたら「あんたら、一体ないやりたいのよ!」って怒っちゃうかもしれないけど、もはやブリティッシュにドップリの自分にとっては、これこそ今ジャストにフィットする純正英国ロックですわ。さすがにオリジナル盤を何万も出して買うようなバンドではないけどね。再発CDで充分。まぁ手持ちの輸入盤CDは解説も何にもない不親切なもので、さらに「あんたたち何物?」感が余計に強まってしまったけど。ボーナス・トラックはアップル・レーベル関係とかクレジットされてますが、一体アップルとどういう関係だったんでしょうか、このバンド。これまた謎。