プライベート・プレスなんていうとカッコいいもんですが、実情はライブをやって会場で50枚ぐらい配ったとか、そういうレベルも多い英国フォーク。深いといえば深い世界ですが、考えてもみれば日本だって、今こうしている時でも、どこかの誰かが地方で弾き語りのフォーク野郎がCDRを勝手に作って、地元駅前でライブやりながら配っているかもしれない。いや、そんなの全然聴きたくないけど、もしタイム・スリップして70年代初頭の英国に行けるなら、もう聴きたい。そんな庶民的な素人フォークを・・・。


まぁ、実際には「このヘタクソ!」とかいってブーイングしちゃうような素人がウニョウニョってのが実情でしょう。今回紹介するブルー・エピタフ(blue epitaph)の「ODE by・・・」('74)も得体が知れない素人という意味では究極のアルバムなのかもしれませんが、いや好きなんですよ、この感じ。音質はモコモコでウマイのかヘタなのかわかりませんけど(たぶんヘタ)妙にポップなメロディーなのに、なぜかサウンド全体ボンヤリしていて、ダラダラして、ズルズルしていて・・・。もう、どうにでもして!って感じです。これぞリアル・アシッド・フォーク。


あとオッサンが3人くらいで、やる気のないようなコーラスをするんですが、「ものすごい複雑なハーモニーだなぁ」と思ったら、単にヘタなだけだったという(笑)しかし、これはクセになりますよ。アシッド・フォークといっても、USのソレとはまた違う感じですし、第一本人たちの意識ではアシッドもクソもないでしょ。普通にまともにモダン・フォークやろうとしたのに、どこまでもズレてしまったという感じです。時代が変われば、音楽の評価も変わる。この廃人ヘロヘロ・フォークは、今だからこそジャストです。一応CD化済み。死にたくなったらどうぞ。死ぬ気力さえなりますから。