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ボクがジョン・フェイヒィというギタリストを意識したのは「モンドミュージック2001」でのフェイヒィとジム・オルークの対談と大々的な特集によってでした。それまでは名前ぐらいは知っていたけど、なんとなくカントリー・ブルース系のギタリストで、ボクには到底縁のないようなシブ〜イ音楽をやってるんだろうなぁ、という感じで素通りしていました。それが、あの「モンド〜」でドバっと紹介された彼の膨大なディスコグラフィーのジャケを魅せられて、何かとてつもなく惹かれてしまうものがありました。ちょうどそれは「ゴーストワールド」という映画を観た頃だったかなぁ。
「ゴーストワールド」は、あるメガネのパンク少女が、ふとしたキッカケでさえない中年男のレコードコレクターと関係を持ってしまうという変な話の映画なのでしたが、そのさえない男が聴いていたレコードというのが、戦前のキッチュなブルース音楽のSP盤だったのです。映画そのものはニューウェイブでオシャレな感じなのに、そこで流れる音楽が古いチリチリとノイズが混じった変な戦前ブルース。これは新鮮でした。ボクは何となくフェイヒィというのは、こんなキッチュなブルース音楽なのではないかと直感したのです。おりしも「モンドミュージック」では「ゴースト〜」で頻繁に登場していたロバート・クラムなんかもも同時に特集で紹介されていましたし。そしてボクはフェイヒィのアルバムを買ってみました。そしてそれは近年稀に見る、まさにディスカバー・アメリカな音楽だったのでした。
ハッキリいってウマイのかヘタなのかわからないような、もうそれはゆるすぎるベロンベロンのアコースティック・ギターの演奏は、チューニングもままならない不安定なサウンド。しかし、その演奏にゆっくりと変な効果音が絡んだり、突然古いSP盤の他人のブルース音楽が流れ込んできたり、現代音楽まがいのノイズコラージュが挿入されたりと、まさにやりたい放題。でも、このゆったり感、気持ちよさは何なのでしょう。とりあえず、ここでは「イエロー・プリンセス」('69)というアルバムをオススメしておきます。帯の宣伝文句は「フォーク・ミュージックと現代音楽の核融合」。ホントかなぁ、というか、これはただテキトーに作ってるだけでしょ(笑)その天然っぷりこそが魅力なんですが。