「ザ・ディヴィアンツ、ア〜ルバム!ウェ〜イ(パラパラパラ・・・)」(まばらな拍手)と、そんな感じのマヌケなオープニングで始まるのが、このザ・ディヴィアンツ(The Deviants)の「プトゥーフ!」('67)というアルバム。ディランやザッパのファンだったというミック・ファレンが結成したこのグループは、当時金持ちの友人を騙して作られた自主制作盤でした。LPは、大きいポスターを折りたたんでレコードを挿入しているという変形ジャケですが、普通のLPジャケだとお金がかかるから、仕方なくこうしたよう(今じゃ逆に、このポスター型のオリジナルLPがレア盤に)


音楽的には何でもありの1大コラージュ・ミュージックで、気の抜けたブルース・ロックからアシッド・フォークな弾き語りまで、まったくもって先の読めない展開。一貫してるのは、独特のヨタレ声と、気合が入っているわけではないけど、とりあえず歪みまくっているギター。これが何とも豪快。というか痛快。やはりマザーズ・オブ・インヴェンションの「フリーク・アウト!」('66)の影響かなり大と思われますが(特にB面)、ただメンバーが極度のドラック・ジャンキーだったこともあって演奏もままならない感じ。終始ダラダラとふざけてるんですけど、このヨタヨタ感は本当にクセになります。


ディイヴァンツからミック・ファレンがソロに転向すると、残りのメンバーはピンク・フェアリーズを結成します。フェアリーズも独特のヨタリ具合と演奏の豪快さは共通するものがありますが、もうちょっと演奏はまとまっていて、ハードロックをも越え、早すぎたパンク/ニューウェイヴのようでした。でもヴィディアンツもフェアリーズも、今聴くとすごくポップに感じられるのが不思議といえば不思議。そのあたりも60年代のザッパ&マザーズ的ではあるのかな。ちなみにミック・ファレンは2004年にジャパン・ツアーをやったりして、いまだ現役バリバリのロッカーというのも驚きです。