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コンプレックス(Complex)のこのアルバムは、一応1970年ぐらいのアルバムだと思いますが、どう考えても古臭く1965年ぐらいの音です。これも英国プライヴェート・プレスの人気希少盤で、おかげで80年代にはウン十万という、どう考えても中味の音につりあわないような理不尽なプレミアがついていたようです。しかし、このジャケットの、なんともいえないテキトーさに漂う独特のワビサビ感が、だんだんと染みてくるようなポップな音楽なんですよ。
ジャケの感じから「寂しくギター1本で歌うような英国フォークかなぁ、それだったらいいなぁ」と思っていたら、なんとも普通な感じの、いかにもブリティッシュらしいビート・ポップス。一瞬拍子抜けしたものの、オルガンの感じとか妙にキャッチーで印象に残りやすいフックなど、これが豪華なプロダクションでキチンと録音されていれば、結構ヒットしたんじゃないのってくらい、いい曲が多い。ビージーズのような哀愁をたたえたUKポップともいえますが、それでいて数年後のパブ・ロックのような風味もあります。
しかし、いかんせん音質モコモコ。まぁ、それが逆に伝説の無名バンドという気分を盛り上げてくれます。とはいえ、まったく無名のバンドというわけでもなく、80年代にソロで活躍したUKのインド人ボーカリストであるシーラ・チャンドラのいたモンスーンのメンバー、スティーブ・コーというキーボード奏者が在籍していたバンドだということ。そういえば、コンプレックスでもキーボードがなかなかいい味をだしていますね。ちなみにコンプレックスは、もう一枚セカンドを出しています。これまた値段がベラボーに高いようで・・・。