英デラムの実験的レーベル「Deram Nova」からリリースのためか、あまり知られていないSSWが、このビル・フェイ(Bill Fay)という人。うつむき加減のポートレートが印象的な、これはセカンド「Time Of The Last Persecution」('70)。ジャケの印象そのままに、どこまでも内省的で朴訥とした歌を聴かせてくれます。シンプルながらも美しいメロディーが多く、全14曲、アップテンポが一曲もないというのも、なにやら崇高なものを感じさせてくれます。


雰囲気としては、ポール・マッカートニーの内省的なバラードばかりを集めたような、あるいはエミット・ローズを100倍地味にしてドラマチックにしたような(笑)そんなサウンドでしょうか。前作にあったストリングスもなく、ピアノ、ギター、ベース、ドラムという最低限のバッキングによる1発録音のような生々しさが、逆に今聴いても、まったく時代を感じさせない普遍的なものになっています。


「'Till The Christ Come Back」なんて曲もあるから、おそらくこれもクリスチャン系のSSWになるのかな。その曲が収められた中盤から12曲目のタイトル曲までの、これでもかというくらいの泣きのメロディーの連続は圧巻です。ちなみに1978年から81年までに録音されながらもオクラ入りになった音源20曲もCD化されてるんですが、「どうしてこれが発表されなかったの?」と嘆きたくなるような素晴らしい曲ばかりなんですよ。ちょっとかわいそう。