前回のティカウィンダに続いて、UKトラッド特集第2弾です。と、まぁ勝手に特集にしちゃってます(すぐ止めますよ、多分)。で、これはヴァルカンズ・ハマー(Vulcan's Hammer)の「True Hearts And Sound Bottoms」('73)というアルバム。そんなの知らないよという人、ご安心あれ。ボクも再発されるまで全然知りませんでしたから。原盤は250枚プレスというプライヴェート・プレスで、音質モコモコの「極渋どトラッド」です。完全にシゴキ系。


「トラッド風味」とか「トラッドっぽい」とか、そういう軟弱さは一切なし。これぞ「トラッド・フォーク」ど真ん中。オッサン達が朗々と歌いギターとバンジョーというシンプルなバッキングで淡々と進んでいきますが、メインではないものの女性ボーカルを含めたコーラスが地味なサウンドに花を添えています。UKフォーク好きの間では評判がよろしいんですが、これは本当に「聴けば聴くほど」の極致。おそらく聴くのが5回目ぐらいで、ようやく体に馴染んでくる究極のスルメ・アルバムなんですよね。


ちなみに「radioactive」から再発CDが出てますが、これがCDで聴くような音質でしょうかねぇ。自主制作なのは仕方が無いとしても、本当に部屋の中でマイク一本で1発録音してるみたいなモコモコ・サウンド。しかし、どういうわけか歌唱力もコーラスも演奏も、超一流という感じで実にウマイ。この欲の無いストイックさこそ「英国トラッド」ならではのヘヴィーな世界なのかもしれません。