フェアポート・コンヴェンションの「リージ・アンド・リーフ」('69)は意外にも全曲トラッドというわけでもないのですが、メンバーの書いたオリジナルでさえもトラッドに聴こえてしまうというのもスゴイところではあります。さらにはサンディ・デニーの存在感溢れる歌唱とリチャード・トンプソンのゴリゴリなギター、新加入のデイヴ・マタックスのバシバシにグルーヴするドラムと、黄金のメンバーによる演奏は完璧。名盤中の名盤とは、まさにコレ。


フェアポートの連中は、このアルバムの制作前にザ・バンドのファーストに大変影響をうけたそうです。「向こうがアメリカのルーツ音楽なら、イギリスのルーツは?」ということで、サンディーがよく楽屋で歌っていたトラッドをロックでやってみようか、みたいな一種の企画物だったのが真相。前のドラマーが事故で死んでしまったので、それまでのオリジナル曲をメンバーがやりたがらなかったというのも要因のひとつだったらしいです。


つまり「真の名盤は偶然から生まれる」ということなんでしょうね。ザ・バンドだって、ボブ・ディランのオートバイ事故がなかったら、どうなっていたのか?さらにはツェッペリンはフェアポートがいなければ、やっぱりフォーク・バンドになっていたのか?などと、いろいろ想像しながら聴くのも、またオツなものです。それにしても、名盤はジャケからして風格が違いますねぇ。このジャケの色合いも渋くて、いい感じですわ。