宇宙服を着たゴリラがバナナを背負って笑っているという、意味不明なジャケのこのアーティストはPeggy's Legというアイルランドのロック・バンドです。この「Grinilla」('73)というアルバムは当時500枚しかプレスされなかったレア盤。ちょっと前にオークションで原盤が8万3千円で落札されていました(それでも安い方らしい・・・)


再発CDはおなじみのKissing Spellから出ているので、てっきりフォーク系かと思ったら、アコースティック・ギターの比率は高いとはいえ、完全なプログレです。ドラムのバシバシ入る展開の多い曲調は、むしろイタリアン・プログレにも通じる目まぐるしさ。とはいえ、妙に哀愁あるメロディーのせいか、マイナーながら非常に完成度が高い音楽性を持った面白いグループだと思います。


「ここでメロトロンが入ったらなぁ」と思わせるに充分な哀愁のミディアム・テンポの曲でも、あくまでギターだけで乗り切るところを面白いと感じるか、物足りないと感じるかで評価が変わるかもしれません。ボクは好きですね、こういうサウンド。それにしても、こういうアルバムに出会うたび、ブリティッシュ・ロックの底知れぬ深い世界を痛感してしまいます。