ジェイドは女性1人男性2人からなる典型的なPPM系の英国フォークトリオ(1970年)。音楽的には、サイケデリック以後の気だるい雰囲気を引きずっていて、もしフェアポートがトラッド系に走らないでそのまま活動を続けていたら、こんな感じの音になるのではないかというサウンド


紅一点マリアン・シーガルのボーカルもサンディ・デニーを思わせる哀愁味溢れる声ですし、男性群のジェントルな歌声もたまりません。英国といってもトラッド系ではなく完全にアメリカに視点が向いた音ながら、やはりというべきか、これまたどうしようもなくブリティッシュなフォークならではの湿り気がたっぷり。


後のシングル曲でカバーしていたジョニ・ミッチェルあたりの影響も含めて、以前紹介したシェラ・マクドナルドあたりにも通じるものがあります。ブックレットに収められた3人の写真も、どれも実に絵になっていて、大変素敵。古き良き時代の英国フォークを象徴する名盤でしょう。