昔は、よく若いヒッピーのカップルを題材にした恋愛映画があったりしました。派手な格好でロックやフォークを聴く若いカップルを大人たちは白い目で見ている。愛し合う2人は、それでも「ラブ&ピース」と叫んで家を出て行くんですが、そのうち食えなくなったりケンカをしたりして。やがて、男は就職し、女は別の男と結婚し、いつしか離れ離れ、みたいな苦いラスト。


そんな「わかっちゃいるけど、涙腺うるうる」系の純愛映画で流れてきそうな音楽が、このカナダのグループ、the folklordsの「rerease the sunshine」('69)です。何のギミックもないスカスカの演奏にヘナヘナのボーカルに抑揚のない曲調(ひどいな)のフォーク・ロック。全編を包み込むオートハープの音も、どこか寂しげ。芯からナイーブな人たちなんでしょうな。何とも弱々しい。でもそこが好き。


まさに映画に出てくる心やさしいヒッピー・カップルの終焉のように「ひと夏の終わり」を感じさせてくれるようなサウンド。ある時期、もう役目を終えてしまった音楽ではあるんですが、60年代後半には、これだって「ロック」だった時代が、確かにあったんです。ママス&パパスだって、あの頃は普通にロックだったんです。懐かしいじゃないですか。ボクは生まれてもないけどね。