マーティン・カーシー(Martin Carthy)って、イギリス政府からMBE勲章を授与されてるんですってね。CDの解説読んで、初めて知りましたよ。MBE勲章っていうと、ボクなんかビートルズとか思い浮かべるんですが、セールス的な貢献という意味では、雲泥の差でしょうな。


つまり、それだけカーシーの歌とギターは、唯一無比の存在であり。トラッド界最高の語り部として、イギリス国宝級の無形重要文化財ということが認められたというわけです。「シアーウォーター」('71)は、そんな彼の絶頂期を飾る名作。たったギターの1本に実直な歌。時に無伴奏シンギング。全曲トラッドのシンプルの極致。


これを聴いてしまうと、彼が参加したスティーライ・スパンでさえ派手派手に聴こえてしまいますね。圧巻は9分にも及ぶ「Famous Flower Of Serving Men」。同じような繰り返しで同じように繰り返さないこのトラッド・ソングは、ある意味で究極のミニマル・ミュージックでもあります。