メイプルオークは笑えるくらい悲劇のバンドで、「元キンクスのピート・クウェイフがカナダ人ミュージシャンと結成した話題のバンド」ってのが売りだったのに、この唯一のアルバム('71)の発表前に肝心のピートが脱退しちゃてるわけですよ。


というわけで「売りがどこにもないカナダ人だけのメンバーによる英国バンド」になっちゃったわけです。このアルバムも「お義理」で急遽作られた挙句、何のプロモーションもされないまま発表前にバンドは解散。当然、すぐに廃盤。で、幻のLPになっちゃったというわけ。


ジャケはプログレ/フォーク系みたいですが、中味はカナダ人のロックなわけでして、どうしようも米国志向。野蛮なのに軽くて、明るいけど中途半端にとっ散らかったサウンド。やるせないセッションの「ある瞬間」だけを明確にとらえた、あの頃の英国スワンプ・ロックの、これまた一例。