「九時半・ハエ(9.30 Fly)」という、わけわかんないUKバンドの唯一のアルバム('72)。ジャケットが、あまりにもまんまなんで笑っちゃいますが、よくプログレ系の本で紹介されるわりには、何のインフォメーションもなく、メンバーの詳細も不明。


ハードなのかソフトなのかポップなのかプログレなのか、もう何をやりたいのかわかんないままにタラタラと続いていくんですが、どうもこれを凡作として切り捨てられないのは、やはり70年代初頭のマジックといいますか。「あの頃の英国」ならではのローカルな風情ってヤツでしょうか。


金髪女性の弾く線の細いエレピ。歪んでいるのに弱々しいエレキ・ギター。パタパタした音のドラム。どこか不安定な男女ボーカル。そのどれもが弱々しいが故の青春の記録。サウンドが地味過ぎて印象に残らないのに、雲を掴むような気持ちで、何度も聴いちゃうアルバムってのもあるんですよ。