クリサリス(Chrysalis)なるバンドの唯一の作品('68)。NY出身でレーベルがMGM。さらにリーダーのJ・スパイダー・バーバー(怪しい名前ですね)がフランク・ザッパと交流もあったとかで。そういえば60年代マザーズも、いちおうヴァーヴ/MGMあたりと絡んでましたしね。


さて、この音楽をなんてカテゴライズしましょうか。USサイケと一言でいってしまえばそれまでなんですが、サイケにしてはレコーディングそのものはヒネリもなく一応バンドサウンド。曲のパーツそのものはポップなもので組み立てられてるんですが、出来上がった音は、どこか歪でひねくれていて、何もかもがストレンジ。


おそらく当時の一般的なロックリスナーがコレを聴いていても「よくわからん。まぁB級」ってな具合でしょう。野心が空回りしてせわしなく落ち着かないのに、それでも何とかポップに収まろうという無謀な試みが、数年後の今になって甘い毒のように後追いリスナー組に浸透してきたというわけ。