そしてこれがBrian Protheroeのサード('76)。残した3枚のアルバムのどれもが傑作ですが、特にこれは「ヤバい」としかいいようがないほど本人のメーターが振り切れてる感じがします。もはや開き直りともいえるテンション高い楽曲の連続攻撃。モダン・ポップ、アートスクール・ロックの真髄、ここに極まれリ。


初めてコレを聴いた時は、他に似ているアルバムということで、ゴドレイ&クレームの「L」やデフ・スクールの「セカンド・ハネムーン」あたりが思い浮かんだものですが、4曲目はジェスロ・タルみたいだし、5曲目はロキシー・ミュージックのよう。しかし全部聴き終えると、どれもが「プロズロー節」ともいえる圧倒的個性が炸裂。


美しいピアノ・アルペジオで始まり、優雅なバラードかと思いきや「ウソだよ〜ん」とばかりに急激にドラマチックに展開するタイトル曲が、この人の本質をよくとらえています。しかし、どれもメロディがウネウネとうねりコードとリズムは七変化。10ccのもっとも尖った部分をたった1人で演じているような毒気と哀愁も。ズバリ名盤。