どんな理由であれ、手書きのジャケットというものはいいもんです。それが印刷されたものであるにもかかわらず、まるで一枚一枚メンバーが一生懸命リスナーのために書いてくれたようで。このThe Flow('72)のジャケもそう。こんないいかげんなジャケは、なかなかお目にかかれません。汚いペン書き。シンセのつまみ部分のメンバー写真の切り貼り。


このメンバー写真のカッコよさたるや、是非現物を手にとって眺めていただきたいんです。白装束集団みたいな怪しげな3人が一心不乱にバンド演奏しているんですが、マイクスタンドがなんとゴミバケツから伸びて立っているという、非常に形容しがたい、でも何故だか妙にカッコいいモノクロ写真に、こちらの期待は高まるばかり。


モコモコした音のヘヴィなサイケながら、どこかそれだけに収まりきれない中途半端なムラっ気。そのバランスの悪さが逆に奥深い何かを感じさせリピートしてしまいます。そしてボーナス曲でのビートルズの「今日の誓い」という微妙なカバーも「ここまでやるか?」ってくらいに独自なモノに。メンバーのPete Fineには本作と同様のサイケなソロ作もあり。