よくAORの名盤としてエアプレイの「ロマンティック」('80)が選ばれるものですが、ボクにはあのアルバムの良さがさっぱりわかりません。しかし、AORそのものがキライというわけでもないので、誤解されないためにも、ボクなりの「80年代AORの名盤」をここでひとつ。そうですジノ・ヴァネリの名盤('81)を。


ジノの音楽はとても情熱的で、そのボーカルは、少しのブレもない完璧なスキルとコントロールによって表現されています。あまりにも「完璧主義」なものにはケチのひとつもつけたくなるものですが、「産業ロック」の形態をなぞりつつ、前人未踏ともいえるプログレッシブな曲展開を違和感なく同居させるワザは、とにかく圧巻。


サウンドが、単にテクニカルなだけでなく、どこかしっとりとした情感があるところも素敵。「サンタ・ローザ」は盛り上がりすぎて、手に汗握る展開のオンパレードだし、ハード・ロッキンな「ステイ・ウィズ・ミー」は良質で完璧な「産業ロック」。「アイ・ビリーヴ」のイントロは、なぜか松田聖子を思い出しちゃったんだけど、まぁいいか(笑)