初めてローリング・ストーンズのデビューLPを10代の頃に聴いたとき「うわ〜音ワル〜」と半ば呆れたもんですが、今では愛聴盤だったりします。昔の音楽にはつきものの「音質」という壁は、ある程度の修行で対処できるもんです。で、ことブルースに関しては、もう逆にあまり「いい音」で聴きたくないくらい。音質ボロボロのブルース、最高です。


で、その若き日のストーンズのメンバーも非常にお世話になったという英国ブルースの巨匠が、このアレクシス・コーナー(Alexis Korner's Blues Incorporeted)('62)。音質がとりわけ悪いというわけではないものの、鈍い音の隙間から立ち上がるどうしようもないくらいの「時代感覚」が、見事に聴き手を60年代英国へタイムスリップさせてくれます。


英国には「パブロック」なる独自の音楽文化がありますが、さしずめこのアルバムなんか、ビートルズ以前の英国ブルースうんぬんじゃなくて、むしろ数年後のパブロックの源流を感じますね。シャキっとしてイキのいい演奏ですが、かといってヤル気満々という演奏でもなく、微妙にだらしないような気も。しかしブルースは、こうじゃなくっちゃね。