寒い冬にはファンキー・ジャズでも聴いて暖まろうとか思って、アート・ブレイキーなんかひっぱり出して聴いてますが、これはもう「熱い」というか「暑い」演奏で、燃えますよ。特に、このアルバム('60)のタイトル曲「チュニジアの夜」。いろんな人がカヴァーしている有名曲ですが、ブレイキーのこのヴァージョンに勝るものはなしです。


中盤のブレイキーのドラムソロで「あ〜」だの「う〜」など、変なうめき声が入っていて、なおかつ、いいかげんなパーカッションがシャカシャカと煽っているんですが、これがまるでヤコペッティの残酷映画に出てくる先住民族のモンドな儀式でも観ているかのよう(何だそりゃ)。やっぱ昭和のジャズは熱い。まさにブレイキーこそ元祖「嵐を呼ぶ男」。


おかげで他の収録曲がオーソドックスに聴こえすぎてしまうのが難点ですが、ともあれリー・モーガン(tp)にウェイン・ショーター(ts)という黄金のブラス隊ですから、悪かろうはずはありません。そしてジャケの「これでもか」というくらいデカいタイポグラフィーを見よ!この「堂々」たる佇まいこそが、ブルーノート、いやブレイキーの流儀なのです。