ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの40年目の2ndアルバムを遂に聴きました。レッド・ツェッペリンの再結成なんかより胸が熱くなるのは、こちらの方が「ボクらの世代」だから。このアルバムを買っているボクと同世代の人たちは、みんなピチカート・ファイヴの「カップルズ」('87)を愛聴していると推測してます。


まず日本側が主導でこれが制作されたという事実を世界中に知らしめるべき。ハーモニー的には複雑なものではなく、ユニゾンと、たまに3度が重なるオーソドックスなもの。でも、そこに絡むメロディが、実に切なく甘い。ベタベタなバラードに終始せず、どこか爽やか。高度な作曲テクニックの果てに生まれたシンプルさなのです。


渋谷系」以降、新譜より再発盤をネタに、質の良い美メロ作りに励むシティ・ポップス系ミュージシャンの目指す地平が、実に「ロジャーニコルス的」なものであることも再確認。全12曲36分が夢のように過ぎていきます。同世代じゃない人にも、新たなスタンダードになりうる傑作。ありがたすぎて聴くのがもったいないほど。