早瀬優香子の何枚目かのアルバム。細野晴臣作品の「椿姫の夏」はリアルタイムでシングル盤を買った思い出深い曲。CDでは、2種類のアレンジで聴けます。プロデュースとアレンジは戸田誠司で、Shi-shonen〜Real Fish人脈が一気に参加しています。デジタル録音の極致みたいなビシバシのテクノ感と妙なエスニック感が同居した不思議なサウンド


そんなムチャクチャに凝りまくったサウンド・プロダクションに流されることなく、相変わらずのアンニュイさでボーカルを披露する優香子さんの存在感もまたスゴイというか。フレンチ系ではおなじみの「舌ったらずの囁き甘え歌唱」ですが、渋谷系以前にコレの路線を追求した日本人歌手で、もっとも徹底したのがこの人でしょう。


サウンド的には、カエターノ・ヴェローゾの「フェラ・フェリーダ」('87)と並べて聴くアルバムなのかも。80年代的奇抜さだけでは終わらないのは、深みのあるコード進行と表情豊かなリズムのおかげ。ヴィジュアル的に露出度は高くないのに、息苦しいほどセクシーなイメージの人でした。何かミステリアスな存在の女性なんだなぁ。