「結局、ロックってブルースなんだよねぇ」と言われてしまうと、「いや、ちょっと待ってよ」という気分になってしまいます。それは「若い頃はロックだったけど、最近は演歌も沁みるねぇ」と言われてしまうような寂しさとでもいいますか。結論出したら進化はなし。ルーツへと遡る不器用な試行錯誤の過程こそがロックなのですよ。


そんなわけで、ひさびさにブルースでも、と思って取り出したのがコレ。ジェームス・コットンというと「100%コットン」('74)という泣く子も黙るファンク・ブルースの大傑作が有名ですが、その前夜ともいうべきヴァンガード時代も、そのとっ散らかり方が面白いです。ロックだけじゃなくて、ブルースの人も「試行錯誤」するのね。


モッド好きも悶絶するヒップでカッコいいタイトル曲。「River's Invitation」の地を這うようなミディアム8ビート。どちらも、その後のファンク化を連想させます。ラストの「Negative 10-4」は、妄想だけを頼りに演奏したボサノヴァ曲で、こりゃブルースでもなんでもないぞ!ブルースって、ヘタなロックより自由なのかも。